脳卒中について
脳卒中とは?
脳卒中(のうそっちゅう)は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳の一部に血液が届かなくなり、脳細胞が損傷を受ける病気です。これは「脳血管障害」とも呼ばれ、迅速な治療が必要な緊急疾患です。適切な治療が遅れると、後遺症が残る可能性が高くなります。
脳卒中の種類
脳卒中は大きく3つのタイプに分けられます。
1. 脳梗塞(のうこうそく)
- 原因:脳の血管が血栓や動脈硬化によって詰まり、血流が遮断される。
- 特徴:脳卒中全体の約80%を占める最も一般的なタイプ。
- リスク因子:
- 高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、不整脈(特に心房細動)。
2. 脳出血(のうしゅっけつ)
- 原因:脳の血管が破裂して出血する。
- 特徴:高血圧が主な原因で、突然の頭痛や意識障害が起こりやすい。
- リスク因子:
- 高血圧、動脈瘤、血管の奇形。
3. くも膜下出血(くもまくげしゅっけつ)
- 原因:脳の表面の動脈が破れて出血がくも膜下腔に広がる。
- 特徴:突然の激しい頭痛が特徴で、動脈瘤破裂が主な原因。
- リスク因子:
- 動脈瘤、喫煙、過剰な飲酒。
脳卒中の症状
脳卒中の症状は、障害される脳の部位によって異なりますが、次のような共通の症状が現れることが多いです:
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顔の片側の麻痺
- 顔が片側に垂れ下がり、笑顔がうまく作れない。
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片側の手足の麻痺または脱力感
- 片方の腕や脚が突然動かなくなる。
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言語障害
- 言葉がうまく話せない、言葉の意味が理解できない。
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視覚障害
- 視野が狭くなる、視力が低下する、または片方の視野が欠ける。
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めまいやふらつき
- 平衡感覚が失われたり、歩行が困難になる。
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突然の激しい頭痛
- 特にくも膜下出血では、経験したことのないような痛みが現れる。
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意識障害
- ぼんやりしたり、意識を失うことがある。
脳卒中の早期発見:FASTチェック
脳卒中を早く発見するために、FASTという簡単なチェック法が役立ちます:
- F(Face):顔が片側に垂れ下がっていないか?
- A(Arms):両腕を上げようとして片方が上がらないか?
- S(Speech):言葉がはっきり話せない、話が意味不明でないか?
- T(Time):これらの症状があればすぐに救急車を呼ぶ。
脳卒中の原因とリスク因子
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生活習慣
- 高血圧(最大のリスク因子)、高脂血症、糖尿病、喫煙、飲酒、肥満。
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心疾患
- 心房細動などの不整脈、心筋梗塞。
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その他
- 加齢、ストレス、遺伝的要因。
脳卒中の診断
医療機関では、次のような検査で脳卒中を診断します:
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画像検査
- CTスキャン:脳出血の有無を確認。
- MRI:脳梗塞やくも膜下出血を詳細に評価。
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血液検査
- 血糖値やコレステロール値、血液凝固の状態を確認。
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心電図
- 不整脈や心疾患の確認。
脳卒中の治療
1. 脳梗塞の場合
- 血栓溶解療法(tPA):発症から4.5時間以内に投与可能な場合、血栓を溶かす治療。
- 血管内治療:血栓を取り除く手術。
2. 脳出血の場合
- 血圧管理と脳圧を下げる治療が主。
- 必要に応じて外科手術で血腫を取り除く。
3. くも膜下出血の場合
- 動脈瘤をクリッピングやコイル塞栓術で治療。
- 再出血予防が重要。
予防
脳卒中は予防可能な病気です。以下のポイントを守りましょう:
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血圧をコントロールする
- 高血圧は脳卒中最大のリスクです。
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健康的な食事
- 塩分を控え、野菜や魚、果物を多く摂取する。
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禁煙と節酒
- タバコは動脈硬化を進行させます。
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適度な運動
- 毎日30分程度のウォーキングが効果的。
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ストレス管理
- 心の健康を保つことも重要です。
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定期検診
- 高血圧、糖尿病、高脂血症がある場合は定期的に受診しましょう。
まとめ
脳卒中は早期発見と治療が後遺症を軽減する鍵です。また、予防には日々の生活習慣の改善が重要です。症状が現れた場合は躊躇せず、すぐに救急車を呼びましょう。
当院では、脳卒中を防ぐため、病気や症状を抑えるための指導や薬の処方をしたり、生活習慣についての指導を行っています。
脳卒中は、日本国内において、がん、心筋梗塞に次いで死亡原因の高い病気ですが十分に予防が可能ですので、ご自身の生活習慣などが気になる方は是非当院にご相談ください。